ヴォーチェ弦楽四重奏団 Quatuor Voce
サラ・ダイヤン Sarah Dayan (ヴァイオリン)
セシル・ルーバン Cécile Roubin (ヴァイオリン)
ギヨーム・ベケール Guillaume Becker (ヴィオラ)
リディア・シェリー Lydia Shelley (チェロ)
《進化し続けるクァルテット》
▶ヴァイオリンとヴィオラの二重奏曲 ト長調 K423
Duo in G für Violine und Viola K423
▶弦楽四重奏曲 ニ短調 K421
Quartett in d für zwei Violinen, Viola und Violoncello K421
▶弦楽四重奏曲 ニ長調 K499「ホフマイスター」
Quartett in D für zwei Violinen, Viola und Violoncello K499
15年前に弦楽四重奏団を結成した時からずっと、モーツァルトは私たちにとって特別な作曲家です。
私たちは活動を始めて間もないころからハイドン・セット(モーツァルトがハイドンに献呈した弦楽四重奏曲)の6曲を熱心に練習してきました。そのうちのひとつ、「弦楽四重奏曲 ニ短調 K421」を、日本モーツァルト協会主催の演奏会で披露することは、大きな喜びです。
私たちの歩みの初期、モーツァルトの弦楽四重奏曲を一生懸命に学んだという経験は、ある意味「ヴォーチェ」というグループ名の由来とも言えます。それはなぜか。私たちにとってモーツァルトの音楽は、まさに“ミニ・オペラ”ともいえるものだからです。作品の中にドラマがあり、冒険があり、多彩なキャラクターが生き生きと語り、歌っています。その作品に生命を吹き込むために一番大事なのは、演奏者一人ひとりがいったん楽器のことを忘れ、「自分は歌っている」と想像することです。そこで私たちは自らを「ヴォーチェ(voce)」、すなわちイタリア語で「声」と名乗ることにしたのです。
「弦楽四重奏曲 ニ短調 K421」と「弦楽四重奏曲 ニ長調 K499」をひとつのコンサートで並べて演奏するのは、面白い試みだと思っています。どちらも主音が「レ」で、一方は短調、もう一方は長調です。「ニ短調 K421」はモーツァルトの弦楽四重奏曲の中でも特によく知られた作品で、古典様式から立ち現れるのは、音が光と影の間を微かに漂うさま。心に沁み入ってくる親密さを感じます。一方、「ニ長調 K499」はさほど有名ではありませんが、聴いているうちに、温かい明るさに包まれます。晴れ晴れとした音楽で、モーツァルトがすべての旋律、声の表現において楽器の用い方を冒険しているようなところが、私たちはとても気に入っています。大らかな曲調が明快に転換していくところも魅力的です。
どうぞお楽しみに!!
ヴォーチェ弦楽四重奏団
2004年にパリ国立高等音楽院の卒業生により結成、その後数年間で、国際音楽コンクールで数々の受賞を飾り、瞬く間に国際的な評価を確立した。ヨーロッパ各地はもちろんのこと、日本、北米、南米、北アフリカで演奏活動を繰り広げている。
2005年第8回クレモナ国際弦楽四重奏コンクール第3位、フランスのノルマンディーで開催された「フォーラム・ミュージカル・ド・ノルマンディー」コンクールで優勝、併せてドビュッシーの演奏に対して<音楽の遺産賞>を授与された。2006年第61回ジュネーヴ国際音楽コンクール最高位入賞。2007年、第3回ヨーゼフ・ハイドン国際室内楽コンクール(ウィーン)第3位入賞。また、第5回ボルドー弦楽四重奏国際コンクールにおいて、現代音楽作品の優れた演奏に対して<SACEM賞>と、モーツァルトの優れた演奏に対して<セルゲ・デン・アレント賞>を授与された。2009年はグラーツにて開催された「フランツ・シューベルトと現代音楽コンクール」第2位。加えて現代音楽の優れた演奏において与えられる特別賞をリゲティの演奏において、さらに聴衆賞を受賞。同年、ロンドン国際弦楽四重奏コンクールで第2位受賞。併せて、アマデウス賞、エステルハージ賞を受賞した。
2005年から、パリ国立高等音楽院でイザーイ・クァルテットに師事し、さらに、元アルバン・ベルク四重奏団のヴァレンティン・エルベン、ギュンター・ピヒラー、ワルター・レヴィン(元ラサール弦楽四重奏団)、アルテミス・クァルテット、クリストフ・コワン(モザイク・クァルテット)、マーティン・ロヴェット(元アマデウス弦楽四重奏団)、ターリヒ四重奏団にも指導を受ける。結成直後よりフランス内外の音楽祭やコンサートで演奏。
近年では、パリのシテ・デ・ラ・ムジクよりノミネートされ、ヨーロッパ・コンサート・ホール協会(ECHO)により、ライジング・スター2013に選ばれ、コンセルトヘボウ(アムステルダム)、バービカン・センター(ロンドン)、コンツェルトハウス(ウィーン)ルクセンブルク・フィルハーモニー、エルプフィルハーモニー(ハンブルク)、ケルン・フィルハーモニー、ムーパ(ブダペスト)、グルベキアン(リスボン)、カーサ・デ・ムジカ(ポルト)、ボザール(ブリュッセル)、メガロン(アテネ)、タウンホール(バーミンガム)、シテ・デラ・ムジク(パリ)、コンツェルトハウス(ストックホルム)、コンツェルトハウス(ドルトムント)、カタルーニャ音楽堂(バルセロナ)、祝祭劇場(バーデンバーデン)といったヨーロッパの主要都市で公演を行う。
あらゆる表現形式に対し常にオープンな姿勢で臨んでいる彼らだが、とりわけ現代音楽への関心は高く、同時代の作曲家による委嘱作品に意欲的に取り組んでいる。これまでブルーノ・マントヴァーニ、ジャンヴィンチェンツォ・クレスタ、グラシアーヌ・フィンジ、アレクサンドロス・マルケアス、フランソワ・メイムン、ザド・ムルタカといった作曲家たちの作品を演奏してきた。また4人とも好奇心旺盛で、実験的な舞台を創り続けている。例えば、W.F.ムルナウやバスター・キートンによるサイレント映画に合せての演奏「シネマ・コンサート」、音楽学者であるバーナード・フルニエや歌手/ギタリストの-M-、コレオグラファーのトーマス・ルブランとのコラボレーション、さらにカナダのネオ・フォークシンガー(モダンフォーク系シンガーソングライター)、キリエ・クリストマンソンとは『Modern Ruin』 と題したアルバムを2015年にリリースしている。今後もさまざまな世界にアンテナを張りめぐらし、クラシック、コンテンポラリーの垣根を越えた野心的な音楽活動を展開していく。
録音はシューベルト、ベートーヴェンに次ぎ、ナイーヴ・レーベルよりモーツァルトとブラームスの弦楽五重奏曲、モーツァルトのフルート四重奏曲全曲をリリース。最新盤は『ないしょの手紙』をアルファ・クラシックスより2017年2月にリリース。
昨シーズンのハイライトは、ヴェニスのフェニーチェ劇場、コロンビア・ボゴタのコロン劇場、アムステルダムのコンセルトヘボウのデビューを果たした。
日本へは2008、2010、2014年と3度の来日を果たしている。前回日本ツアーは、同じくジュネーヴ国際音楽コンクールで優勝したピアノの萩原麻未と共演の紀尾井ホール主催公演他で、11公演で演奏、各地で好評を博す。また東京・王子ホール公演はNHKにて全国放送された。
東京文化会館チケットサービス 03-5685-0650
日本モーツァルト協会 03-5467-0626(8月13日発売)
※学生券は日本モーツァルト協会のみ取り扱い
※ 出演者・プログラムは変更することがございます。予めご了承ください。
※ 10歳以下の方の入場はご遠慮下さい。
※ 会場での無断撮影、録音は固くお断りします。