モーツァルトが使用したヴァイオリンで演奏した
ヴァイオリン協奏曲全集の初録音
ウィーン・フィルの名奏者がミンコフスキのオケと驚愕の共演!
ここで使用されたヴァイオリンは、モーツァルトがザルツブルク宮廷オーケストラのコンサートマスターをしていたときに使用していたものです。1773年と1775年に彼自身が演奏するために5つのヴァイオリン協奏曲を作曲していますが、ちょうどそれと同時期のもので、このヴァイオリンを使用して演奏されたものと思われます。
この楽器は、バイエルン・アルプスのクロッツ家の工房で、おそらく18世紀初頭に作成されたものです。当時より「銀色の音色」の名器とされていたヤーコブ・シュタイナーの楽器をモデルに製作されたことが、内部のラベルの記載が示唆しているようです。モーツァルトはザルツブルクを去ったとき、このヴァイオリンをウィーンに持って行かず、彼の妹と一緒に残しました。 1820年に彼女は、モーツァルトの子供時代のヴァイオリンと一緒にそれを売ってしまいました。楽器は当時から「モーツァルトの遺物」として扱われていたため、非常に良好であり、いくつかの小さな変更を除いて、実質的にオリジナルの状態が保たれています。
オーストリア=ハンガリー系ヴァイオリニスト、クリストフ・コンツは、弱冠9歳にして、アカデミー賞を受賞したカナダ映画「レッド・ヴァイオリン」において神童カスパー・ワイス役を演じ世界中の賞賛を受けました。2008年に20歳でウィーン国立歌劇場管弦楽団に入団。現在ソリストとして多岐に亘る国際的な経歴を有しながら、室内楽奏者、そしてウィーン・フィルの第2ヴァイオリン首席奏者としても活躍しています(兄でチェロ奏者のシュテファン・コンツはベルリン・フィル団員、フィルハーモニクスのメンバー、アレンジャーとしても活躍)。また、指揮者としても国際的にその実績を確立しており、2014年には、ヴェルビエ・フェスティバル室内管弦楽団のツアーに加わり14公演を行い、同年のザルツブルク音楽祭ではモーツァルトの作品を指揮して高い評価を得ています。2019年からは、ノイス・ドイツ・カンマーアカデミーの首席指揮者にも任命され、ルーヴル宮音楽隊の首席客演指揮者もつとめています。
ルーヴル宮音楽隊がミンコフスキなしで録音するのはおそらく当盤が初めて思われ、オーケストラ側からのコンツへの強い信頼がうかがえます。この録音では、モーツァルトの生前と同じく現在よりも低めのピッチを採用し、カデンツァも含めて当時の歴史的演奏様式を取り入れて演奏されています。
「これらの協奏曲とこの楽器の間には密接な関係があり、モーツァルトがこの楽器を体験したことは間違いなく彼に大きな影響を与えました。彼はヴァイオリン協奏曲で、テッシトゥーラとコロラトゥーラを高音域で使用するのが好きでした。この音域はこのモーツァルト自身の楽器で特に美しく聞こえます」と、コンツは語っています。
【曲目】
[CD1]
1-3. ヴァイオリン協奏曲第1番変ロ長調 K.207
4-6. ヴァイオリン協奏曲第2番ニ長調 K.211
7-9.ヴァイオリン協奏曲第3番ト長調 K.216
[CD2]
1-3. ヴァイオリン協奏曲第4番ニ長調 K.218
4-6. ヴァイオリン協奏曲第5番イ長調 K.219 『トルコ風』
【演奏】
クリストフ・コンツ(ヴァイオリン、指揮)
ルーヴル宮音楽隊(レ・ミュジシャン・デュ・ルーヴル オリジナル楽器使用)
【録音時期】
2019年1月7-10日
【録音場所】
ザルツブルク、モーツァルテウム大ホール
【録音方式】
ステレオ(デジタル/セッション)
(以上、ソニーミュージックより)