モーツァルトのオペラ研究の第一人者が、その全オペラを詳細に解説した日本語で初めての著作。「モーツァルトのオペラ作品事典」としても役立つ保存版。
全体は、モーツァルトのオペラ創作期を大きく7つに区分し、1章ずつを当てている。各章は、彼のオペラ創作を中心とした伝記である「創作活動」、各作品の「作品解説」からなる。
モーツァルトのオペラ創作は基本的に依頼に応じてのものだった。その作品を「天才作曲家ひとりが生み出した作品」のごとく捉えるだけではなく「往々にして偶然に与えられた、特定の状況の中で、様々な人物が関与して創作されたオペラ」として理解しようとする姿勢から、「創作活動」では創作の背景を詳しく解説している。
「作品解説」は、(1) 基本的な情報 (2)台本 (3)楽曲解説(場面ごとのあらすじ、音楽の解説も)の流れで解説。作品を構成する番号曲は、一覧表にまとめられている。「主要人名解説」ほか充実の附録、索引付き。
【内容紹介】
まえがき/凡例
◆概説
序/I ジャンル/II 上演の場/III 台本と音楽
◆第1部 ザルツブルク時代
第1章 1756-1769
創作活動:オペラ創作の開始
1.「神童」とオペラ
2. ザルツブルクにおける最初のオペラ創作
3.「第2回ウィーン旅行」での2つのオペラ
作品解説
①第一戒律の責務 K35
②アポロとヒアチントゥス K38
③ラ・フィンタ・センプリチェ K51
④バスティアンとバスティエンヌ K50
第2章 1769-1773
創作活動:「イタリア旅行時代」のオペラ創作
1.「第1回イタリア旅行」
2. 2つの祝典オペラ
3. イタリアでの最後のオペラ
作品解説
⑤ポントの王ミトリダーテ K87
⑥アルバのアスカーニョ K111
⑦シピオーネの夢 K126
⑧ルーチョ・シッラ K135
第3章 1773-1781
創作活動:新大司教のもとでのオペラ創作
1. 10代最後のオペラ創作
2.「マンハイム・パリ旅行」
3.《イドメネオ》の成立
作品解説
⑨偽りの女庭師 K196
⑩牧人の王 K208
⑪ツァイーデ(後宮) K344
⑫イドメネオ K366
◆第2部 ウィーン時代
第4章 1781-1784
創作活動:ウィーンでのオペラ創作の開始
1.「ウィーン時代」の開始
2.《後宮からの誘拐》の初演とジングシュピール公演の終了
3. イタリア・オペラ公演の復活
作品解説
⑬後宮からの誘拐 K384
⑭カイロの鵞鳥 K422
第5章 1784-1787
創作活動:《フィガロの結婚》の誕生
1. 1784/85年のシーズンの諸状況
2.《フィガロの結婚》の作曲の開始
3.《フィガロの結婚》の初演とその後の上演状況
作品解説
⑮だまされた花婿、または、1人の恋人をめぐる3人の女の張り合い K430
⑯劇場支配人 K486
⑰フィガロの結婚 K492
第6章 1787-1790
創作活動:続けられるダ・ポンテとのオペラ創作
1. 2回のプラハ旅行と《ドン・ジョヴァンニ》
2. 対トルコ戦争開始後の宮廷劇場におけるオペラ公演
3.《コジ・ファン・トゥッテ》の作曲とヨーゼフ二世時代の終わり
作品解説
⑱罰せられた放蕩者、または、ドン・ジョヴァンニ K527
⑲コジ・ファン・トゥッテ、または、恋人たちの学校 K588
第7章 1790-1791
創作活動:「最後の年」の2つのオペラ
1. シカネーダーの劇場との関わり
2. 皇帝の代替わりと宮廷劇場の公演の変化
3.《魔笛》と《皇帝ティートの慈悲》
作品解説
⑳魔笛 K620
㉑皇帝ティートの慈悲 K621
◆附録
主要人名解説/アリアの楽曲形式と諸類型/資料情報/コンサート・アリア等の一覧/
関連年譜/主要参考文献/人名索引/作品名索引
あとがき
【著者】松田聡
【定価】3,520円 (本体3,200円+税)
【判型・頁数】A5判・288頁
【発行】音楽之友社(2021年10月)
【ISBNコード】9784276355347
(以上、音楽之友社より)