ヴァイオリン、ヴィオラ、ピアノという身近な楽器のために書かれ、モーツァルト自身や彼の親族が演奏していたかもしれない音楽を、ぜいたくにもクイケン・ファミリーの演奏で聴くアルバム。くつろいだ雰囲気の演奏ですが、選曲は巧妙かつバラエティ豊かで、優しい音色と確かな知見が織りなす独特の魅力を持っています。サラ・クイケンとマリー・クイケンはシギスヴァルトのご息女。
両楽器が完璧に平等に扱われ、極めて協奏的な対話が繰り広げられるヴァイオリンとヴィオラの二重奏曲は、モーツァルトがそれぞれの楽器をいかに熟知していたかを物語る逸品。ピアノのための『幻想曲』はモーツァルトにとって特別な調であるニ短調で書かれており、弦楽四重奏、ピアノ協奏曲、レクイエムでも見られるような、深く暗く、しかしエネルギーにあふれた音楽が展開されます。『ケーゲルシュタット・トリオ』は、もともとクラリネット、ヴィオラ、ピアノのために書かれた曲で、変ホ長調はフリーメイソンの象徴でもあります。このCDではクラリネットをヴァイオリンの音域に合わせて移し替えた版を使って演奏。編成としてはこちらの方が一般的で、浸透しやすかったかもしれません。
フォルテピアノは1785年頃にヨハン・アンドレアス・シュタインが製作した楽器の忠実なコピーを使用。同時代のチェンバロと同等の大きさの楽器です。モーツァルトはこの楽器製作者の大親友でした。
【曲目】
モーツァルト:
ピアノとヴァイオリンのためのソナタ ハ長調 K296 (マンハイム、1778)
ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲 K423(ザルツブルク、1783)
ピアノのための幻想曲 ニ短調 K397 (1782頃)
ヴァイオリン、ヴィオラとピアノのための
『ケーゲルシュタット・トリオ』 変ホ長調 K498 (アルタリア版、1788)
【演奏】
シギスヴァルト・クイケン(ヴァイオリン)
サラ・クイケン(ヴィオラ)
マリー・クイケン(フォルテピアノ)
【録音】
2021年11月23‐25日/
ベルギー、コルトレイクフォーマット
【商品情報】
レーベル:CHALLENGE CLASSICS
品番:CC-72902
収録時間:66:06
(以上、キングインターナショナルより)